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副業が軌道に乗ってきて、十分独立できるくらいにまで成長してきました。これを機に思い切って会社を辞めて、こちらの仕事一本でやっていこうかと思っています。

それは素晴らしいですね、今まで頑張ってきた甲斐がありますね。独立はどのような形でするか考えていますか?

そこを今悩んでいるところです。会社を立ち上げて起業した方がいいのか、そこまでする必要がないのかで迷っています。

会社立ち上げにはメリットもデメリットもあります。まずは、起業する際に考えておくべきポイントをしっかりと押さえるといいですね。

なるほど、起業そのものについての知識を蓄えることは重要ですね。
事業を始めるには、単に利益を得られるほどの業績を上げられる体制を整えるだけでなく、どんな形で経営をするかという点を考慮しなくてはなりません。
具体的には、個人事業主として事業を進めるか、会社組織という法人を設立して経営するかという選択肢があります。
どちらのやり方にもメリットデメリットがありますので、それぞれの特徴を押さえて決定することが大事です。
起業する際の注意点を考慮しつつ、こうしたポイントをチェックしてみましょう。
この記事で分かること
・起業に当たって事前に考慮すべきこと
・会社を作って事業することと個人事業主の違い
・法人を設立するメリット
・法人にかかる税金と利用できる制度
起業する際の3つのポイント

副業などの形である程度の仕事をしていて、十分な儲けを得られるようになっているとしても、独立して起業する場合には、事前に検討すべき点がいくつもあります。
もちろん、新たに事業を始める場合にはさらに準備しなければならないことがあります。
起業を意識し始めたら、早めにこうした準備に取り掛かるようにしたいものです。
事業資金
副業としてすでに一定の営業をしている場合でも、全く白紙の状態から事業を興すにしても、事業資金が必要となります。
それ一本で収入を得ていくためには、それなりの投資をして安定した経営の形を採らないといけないからです。事業資金が必要となる場面はいくつもあります。
オフィスを構えたり事業に必要な設備機器、たとえばパソコンやデスク、作業につかうツール購入したりするときにお金をかける必要があります。
また、顧客層を広げるための広報目的で広告を出したり、チラシや名刺を印刷したりするのも、スタートアップには欠かせません。
事業内容によっても異なりますが、企業には少なくても数十万円、場合によっては数百万円の資金がかかることが多いものです。
こうした事業資金を、自己資金つまり貯蓄から回すことができれば、大きな負担を抱えることなくスタートできます。
しかし、額によっては融資を受けないと資金調達が難しいこともあります。
融資は家族などからの近い人から受けることもできますが、銀行などの金融機関から受けるのが一般的です。
こうした場合では、個人事業主として起業するよりも、法人組織の方が有利になります。
より信頼性がありますので、金融機関としても出資しやすいからです。
自己資金があるかないかによっても異なりますが、一般的に初期投資のための資金を外部から得るのであれば、法人設立を検討した方が安心です。
また、公的な制度を利用することも検討できます。
自治体によって起業をする人に向けて、助成金を提供しているところもあります。
また、公共性の強い金融機関が低利子での融資をしてくれるケースもありますので、銀行でお金を借りるより返済が楽になります。
どのような形で資金を調達するにせよ、スタートする前にしっかりと必要な金額を算出し、十分な資金を確保することは欠かせない点となります。
事業拡大
題なく事業を立ち上げることは、これから起業する人にとっては大きな目標となります。
しかし、その先のことをさらに目標にして立ち上げ作業を進めることはとても大事です。
つまり、事業を拡大していくという目標です。
将来についての理想を掲げることで、強いモチベーションを持てますし、長期的な戦略を立てる上での助けとなるからです。
もちろん、あまりに現実離れした目標は戦略を誤らせることになりますが、ある程度高めの目標を設定しておくのはスタートアップの際に役立ちます。
事業拡大をどの程度まで進めていきたいかというのは、起業スタイルを決める要因ともなります。
家族経営だけで抑えておきたいという希望があるなら、個人事業主としてのスタートでも十分だと思うかもしれません。
一方で、従業員を雇って業務を広げていきたいと思うのであれば、法人を作った方が将来的に有利となります。
そうであれば、最初から会社を立ち上げてしまった方が、資金を調達したり信頼を得たりする上でメリットが大きくなります。
税金の面でも節税効果が高いので、事業を効率よく進めていく上では法人の方がやりやすい環境です。
ある程度長期的な観点に立って、事業をどこまで拡大したいかという点を考えてから、起業の準備を進めていくことが重要なのです。
事業に関して許認可が必要
起業する場合には、少なからず何らかの行政上の手続きをしなければなりません。
個人事業主でも税務署に開業届を出す必要があります。
法人組織にするということであれば、登記を含めて様々な手続きが求められます。
そのため、事前に起業に当たってはどんな手続きが必要となるのかを調べておきましょう。
申請には時間がかかるものも存在しますので、準備をスムーズに進めるためにはあらかじめ知識を得ておいた方が良いのです。
こうした手続きについて調べていくと、業種によっては個人事業主では業務そのものができないものがあることに気付くはずです。
たとえば、介護事業関連の業務については法人組織による届出が必須となっています。
デイサービスなどを行う場合、たとえ受け入れ可能人数が少ないとしても、介護事業者の指定申請は個人ではできないことになっています。
そのため、福祉関係の事業をスタートしたいときは、基本的に個人事業主で始めるという選択肢はなく、初めから法人という形でスタートしないといけなくなります。
もちろん、ほとんどの業種については個人事業主でもスタートできます。
しかし、事業を拡大したり高度なサービスを提供したりするときには、法人組織による届出が求められたり、少なくても法人の方が有利になったりすることがあります。
始めたいと思っている事業に関係する行政上の手続きについても、事前に下調べをしてその要件をチェックしておきましょう。
そうすることで、より的確な判断を下しやすくなります。
法人と個人事業主の違いを整理

ここまでで、起業そのものについてのポイントを見ることができましたが、具体的にどのように個人事業主と法人での違いがあるかをチェックしてみましょう。
それにより、手続きに関係する手間や対外関係などの差を理解しやすくなります。
まず、スタートの方法ですが、個人事業主の場合は税務署に開業届を出すだけです。
この手続きは非常に簡単で、税務署に書類を一枚提出するだけで終了となり、費用はかかりません。
一方で法人でのスタートでは、会社の登記が必要です。
登記をするためには企業としての定款を事前に作成しておかないといけません。
こうした手続きをするためには司法書士に依頼するのが一般的で、全体として20万円程度の費用がかかります。
税制上の違いも個人事業主と法人では大きなものがあります。
そもそも、税金の種類が会社だと法人税、個人事業主だと所得税という形になり、仕組み自体が異なります。
そして、これは経費の扱い方などに違いを生みます。
たとえば、代表者が受け取る報酬は経費として算入することができず、課税対象となります。
一方で、法人にした場合は、代表取締役への役員報酬という形になりますので、経費として認められます。
その分、全体として考えると税額を抑えられることになります。
また、赤字を繰り越して決算できるかということも、法人と個人事業主では違いとなります。
個人事業主の場合は、赤字が出てから3年間は黒字と相殺できます。
一方で法人だと、9年間にわたって相殺ができるのです。
このように、節税という面で考えると法人の方が有利であることが分かります。
起業の際には法人の方がお金がかかりますが、実際に事業を始めてしまうと、利益を得やすいのは会社であると考えることもできます。
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会社設立の5つのメリット

事業をスタートする際、会社を設立してしまった方が良いと言えるいくつかの理由があります。
個人事業主と比べて出てくるメリットが存在しますので、それが自分のケースではどのくらいベネフィットをもたらすのかを考えてみましょう。
信用力が高まる
やはり、個人として営業をするよりも、会社という組織からの営業の方が信用が高いです。
顧客からの信用はそのまま業績に結びつきますので、収入の差にも現れてくることになります。
そして信用力の違いは、資金調達の際にはっきりと見えてきます。
融資を受けたいと銀行などに申し入れをしても、個人事業主だと簡単に断られてしまうところが、法人だと受けやすいというメリットがあります。
というのも、会社組織にすることで、ある程度の資本を持っていると理解されますし、個人事業者よりも確実に事業を続けていく意思があると見られるからです。
社会的な信用度が高いので、融資を申し込むだけでなくオフィスを借りる場合にも有利に働きます。
不動産オーナーは、個人事業主はあくまでも自営業という形で見ていて、不安定な状態だと判断するケースが多いです。
そのため、賃貸そのものを断ったり保証金を高く設定したりすることがあります。
その点、会社であればより楽に契約を結びやすくなるのです。
決算日を自由に設定できる
個人事業主は所得税での課税となりますので、決算は1月1日から12月31日までのサイクルとなり、年末締めに固定されます。
そのため、年末年始は決算関係の作業に追われることになります。
一方で法人は、定款によって自由に決算のサイクルを決められることになっています。
そのため、忙しい年末を避けることができます。
また、売り上げが月によって変動する傾向があれば、それに合わせて変更することも可能です。
納税を先延ばししたり、逆に資金に余裕がある季節に納税を済ませたりするなどの調整が可能となるのです。
定款は法人設立の後でも変更することができますので、税務署への届出と合わせて、決算期を変えた方が良いと判断したら、自由に調整できるのがメリットとなります。
事業継承がスムーズに出来る
事業を始めたばかりの段階では、その事業を他の人に譲るということはあまり考えないかもしれません。
しかし、長期的な観点に立って検討をすることは重要です。
事業承継というポイントで見ると、やはり法人にした方がメリットは大きくなります。
個人事業主はあくまでも代表者が一人で行っている事業です。
そのため、他の人に引き継ぐには手続きが面倒です。
事業用の資産は代表者の所有物ですので、個人として譲る必要が出てきます。
そのため、贈与税などの税金がかかってくるという問題点もあります。
さらに、従業員がいる場合は、新たな代表者と雇用契約を結び直す必要があります。
一方で法人であれば、資産は会社のものですので、代表者が変わっても特に手続きはいりません。
そもそも、代表者の変更自体も役員や株主の承認があれば可能で、登記項目の変更手続きをするだけで済みます。
従業員は代表者に雇用されているわけではありませんので、そのままの状態で仕事を同じように続けられます。
差し押さえのリスクが低下する
経営危機に陥ったときにも、両者に違いが出てきます。
個人事業主の場合、債務は代表者個人に及ぶものですので、差し押さえとなった時には個人の資産が押さえられてしまいます。
資金がどうしても回らないというケースでは、最悪の場合自己破産しないといけません。
しかし、法人であれば、債務があっても代表者の資産が押さえられることはありません。
融資は個人ではなく会社に対してなされるものだからです。
経営が立ち行かなくなった場合、会社は倒産となりますが、個人としては自己破産などの状態になることはありません。
責任は法人が負うものとなり、個人には及ばないからです。
とはいえ、融資を申し込む場合、代表者としての連帯保証を求められることもあります。
その場合では、会社の債務について代表者が責任を負い、支払い義務を持つこともありますので注意が必要です。
融資の契約条件をしっかりと確認して申し込むようにしましょう。
会社設立税金・節税の5つのメリット

上記のようなメリットの他に、会社を設立することには、税制上のメリットがあります。
より収支バランスを良くするのに役立ちますので、検討材料とすることができます。
給与所得控除を利用しよう
代表者への報酬は経費となりますので、その分を節税できます。
さらに、この役員報酬は給与と見なされ、受け取る代表者は給与控除が適用されます。
受け取った給与から一定金額分が差し引かれた上で、所得税が計算されることになるのです。
つまり、経費としての計上に加えて、給与所得控除とダブルで節税ができるというメリットが生まれることになります。
家族に給与を支払って節税を行う
個人事業主の場合は、家族に対して給与を支払う場合、事前に税務署への届出をしないといけません。
しかし、会社の場合はこうした手続きが不要ですので、よりシンプルです。
しかも、こうした支払いも経費計上できるので節税ができるのです。
配偶者控除と扶養控除
配偶者を従業員として報酬を支払っている場合、その給与については38万円の配偶者控除が適用されます。
また、同時に扶養控除も利用することができますので、全体としてかなりの節税につながります。
この二つの控除については、個人事業主では適用できませんので、節税効果に大きな違いが生じます。
退職金がもらえる
個人事業主には退職金という制度そのものが存在しません。
しかし、会社にしておけば自分が仕事を辞めて誰かに引き継ぐときに退職金が出せます。
勤続が20年以下であれば、その年数×40万円までは非課税となっていますので、大きな報酬を税支払いなしで得られるというメリットが生まれるのです。
創業後間もなくでも使える助成金2種
法人だと助成金を利用できるというメリットもあり、個人と比較すると資金調達を楽にします。
電通が行っているもので、政府の支援を受けて実施されています。
創業することによってかかった出費の3分の2までを受け取ることができます。
上限は、銀行などから融資を受けていなければ100万円となっています。
商工会議所が管理している制度で、経産省が実施しています。
50万円の支給が上限となっていて、出費した金額の3分の2以下という条件が付きます。
申請にはいくつかの書類提出が求められますが、気軽に利用できるため条件に合うなら積極的に申し込むと良いでしょう。
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個人事業主と法人を徹底比較!

このように、税制面で見ると法人の方がメリットが大きくなります。所得金額ごとに見ていくと、その差は明らかです。
たとえば、年間で600万円の所得がある場合、個人事業者と法人の場合には40万円程度の税額の差が出てきます。
これが、1,000万円の年間所得となると、じつに120万円以上の差となります。
さらに、2,000万円の所得が出ると、税額の差は400万円超となります。
事業をスタートして、ある程度まとまった所得を得られる見込みであれば、やはり法人にした方が良いでしょう。
節税できた分だけで、従業員を一人雇えるくらいの差が出てくることもありますので、さらに事業拡大をするための力として活用できるのです。
まとめ

事業をはじめるに当たっては、個人事業主にするか法人を作るかという選択をすることになります。
会社を立ち上げるのは面倒というデメリットがあります。
しかし、税制面のメリットを筆頭に、経営を効率よく進めていくには法人の方が圧倒的に有利です。
将来のことを考えて、企業の際の面倒があるにしても、それを上回るメリットが存在することを思いに留めて、法人設立を検討してみると良いでしょう。